
※これはドラゴンクエスト風のアンチエイジング物語です。
プロローグ
かつて世界を救った伝説の勇者「ユータ」は、いまや40代・二児の父。
魔王を倒した英雄も、日々のビールと夜食には勝てず、腹囲94cmというメタボ腹を手に入れていた。
ある日、タンスの奥から懐かしい装備を見つけた。
「おお…これは“勇者のズボン”!」
王より授かった由緒正しき装備。30歳の頃、スリムだったユータにピッタリだったあのズボンだ。思わず感動しながら、脚を通そうとする。
…が、
「ぐ、ぐぬぬぬ……入らん!!」
腹が、まるでバリア魔法「メタボスフィア」でも張っているかのように、ズボンのボタンを寄せ付けない。
「これは…魔王の呪いか…!? いや、違う。これは…オレ自身の“怠慢”という名の魔物だ」
その日、ユータは再び立ち上がることを決意した。
目指すは「伝説のウエスト=腹囲78cm」への回帰。
己の身体に潜む魔物との壮絶な戦いが、今、幕を開けた!
第一章:スライム腹との遭遇
初日からユータは筋トレに挑んだ。
かつてのように剣は振れなくとも、「腹筋20回」を剣技に見立てて、今日も挑む。
だが現れたのは“スライム腹”。
ぷにっと揺れる腹は、意志とは裏腹に抵抗し続ける。
「はぁ…3回でキツい…」
倒せど倒せど減らない脂肪。
だがそこに現れたのは、若きトレーナー“パーソナリーナ・リナ”。
「勇者さま、継続こそが最強の魔法です! 今日も1歩、いや1腹分、前進です!」
励まされながら、ユータは毎日少しずつ、筋トレとウォーキングを続けた。
第二章:糖質の塔と揚げ物の罠
次なるステージは“食の迷宮”。
昼に現れる「ラーメンの誘惑」。
夜には「唐揚げの大群」──それらはまるで中年を狙う魔物の群れだった。
リナが差し出したのは「伝説の弁当(低糖質仕様)」と「黄金のプロテイン」。
「これが…新たなる武器…!」
ユータは徐々に、食事を“戦術”と捉えるようになった。
白米の代わりにオートミール。揚げ物の代わりにグリルチキン。
敵は減らぬ腹ではない、自分自身の「欲望」だった。
第三章:試練の月、そして光
1ヶ月が経ち、ユータの腹囲は88cmに。
まだ道のりは遠いが、かつての“だらしない鎧”が少し緩くなってきた。
だがある日、リナが告げる。
「これからが本当の試練…“停滞期”の魔物が現れるでしょう」
思うように体重も腹囲も落ちない日々。
だが、そこでユータは気づく。
「これは、単なる数値の勝負じゃない。
本当の戦いは、自分自身に“負けない”ことだ」
最終章:勇者のズボン、再び
3ヶ月後。朝の光が差し込む部屋で、ユータは再び立ち上がる。
「今度こそ…!」
手に取るのは、あの日の“勇者のズボン”。
脚を通し、腹を引き締め、ゆっくりとボタンを…「パチン」。
…入った。
「やった…やったぞ!!」
その瞬間、どこからかファンファーレが聞こえた(気がした)。
妻と子どもたちも拍手を送る。
「パパ、かっこいいじゃん!」
「お兄ちゃんみたい〜!」
かつての勇者は、新たなる敵──中年太り──を打ち倒し、真の意味で“自信”という装備を手に入れたのだった。
エピローグ:勇者の誓い
ズボンが入ったその日から、ユータは毎朝こうつぶやく。
「今日もズボンが入る限り、オレは勇者だ」
そして、伝説は続く。
勇者のズボンに恥じない身体であるために──