
※これはアンチエイジング物語です。
40代男性の不安
「ねえ、最近ちょっと疲れてる?」
妻の何気ないひと言が、俺の胸に小さな針を刺した。
俺は43歳。妻は33歳。年齢差が気にならなかったのは、付き合い始めの頃だけだった。結婚して7年、仕事に追われ、鏡の中の自分はいつしか「オジサン」になっていた。髪はやや薄くなり、腹は出てきた。若い頃にはなかった老眼まで始まった。
一方で、妻はいつ見ても若々しく、肌はつやつやで、洋服のセンスも抜群。通勤電車で彼女に声をかける男もまだまだいるだろうと思うと、不安が心を蝕む。
「あと何年、彼女は俺と一緒にいてくれるんだろう?」
そんなことを考える自分が、情けなくて悔しかった。だが、何より怖かったのは、自分でも気づかぬうちに「諦めた男」になっていたことだった。
再起のきっかけは、一本の動画だった
ある夜、YouTubeで何となく開いたのは「40代からのアンチエイジング」という動画だった。そこに映っていたのは、俺と同世代の男性。若々しい表情で筋トレし、スキンケアや食事に気を遣い、堂々とカメラの前で話していた。
「これ、本当に同じ年かよ……」
ショックだった。でも、同時に心の奥が熱くなった。
「俺も、まだ変われるかもしれない」
その夜から、俺の“再起の物語”が始まった。
鏡の前で、少しだけ笑えるようになった
まず始めたのは、野菜中心の食事。夜遅いラーメンをやめ、代わりにブロッコリーと鶏胸肉、玄米。甘いものを我慢し、週に3回ジムに通った。
最初は苦痛でしかなかったが、1ヶ月後──ほんの少し腹が凹んできた。肌も、気のせいか明るくなった気がした。
スキンケアも始めた。化粧水なんて女のもんだと思っていたけど、洗顔後の保湿で肌が変わることに驚いた。
2ヶ月目、鏡の前の自分に、ほんの少しだけ笑えるようになった。
変わったのは、見た目だけじゃなかった
アンチエイジングの効果は、外見だけじゃなかった。
食生活の改善で睡眠の質が上がり、朝の目覚めも爽快になった。筋トレのおかげで姿勢が良くなり、自然と自信も湧いてくる。何より、妻に対して卑屈な気持ちが薄れた。
「最近、なんか若返ったね」
ある日、妻がそう言って笑った。俺はただ「そう?」と笑ったが、心の中ではガッツポーズだった。
あの頃の恋が、ふたたび始まった
アンチエイジングを始めて半年。
妻とふたりでレストランに出かけた帰り道。俺はふと思い立ち、彼女の手を握った。照れくさそうに笑いながらも、妻は握り返してくれた。
「やっぱり、あなたが好きだな」
その一言で、涙が出そうになった。
10歳の年の差も、老いへの不安も、すべてが今、愛しさに変わっていく。あの日、自分を変えようと決めて、本当によかった。
まとめ:見た目じゃない、“自分を諦めない姿勢”が、未来を変える
アンチエイジングとは、ただ若く見せるための手段ではない。
それは、「もう一度、人生を取り戻すための挑戦」だ。
年齢差に悩むこともある。でも、努力する姿は、どんな若さよりも魅力的だ。俺はもう一度、妻に惚れ直してもらえた。
次は、50歳の俺で、また惚れさせたい。