
※これはドラゴンクエスト風のアンチエイジング物語です。
プロローグ:旅立ち
ここはアンチエイジング王国。
40歳の勇者・ガーロックは、若き頃の筋肉自慢を引きずり、今なお“肉こそ最強”と信じてやまない男だった。ステーキ、唐揚げ、ハンバーグ……彼の冷蔵庫には野菜の「や」の字もない。
「俺は肉でできている!」
そう豪語していたガーロックだったが、最近、鏡の前で首をかしげることが増えた。肌はくすみ、腹はたるみ、朝の目覚めも悪い。そして、10歳下の妻エリナの表情も、どこか浮かない。
そんなある夜。
夢の中に現れた白髪の賢者は、静かにこう告げた。
「若さの鍵は、緑の野に宿る。肉の魔王を倒せ、勇者ガーロックよ」
目覚めた彼は、何かを決意したように冷蔵庫を開いた。
だがそこには、肉、肉、肉……!
「……野菜がねぇ!」
こうして、勇者ガーロックの“野菜を探す旅”が始まった。
第一章:ブロッコの森の試練
最初に訪れたのは、かつて「野菜の精霊」が棲んでいたとされるブロッコの森。しかしそこには、野菜嫌いのモンスターたちがひしめいていた。
「にんじんなんてウサギの食いもんだ!」
「トマトは血の味がするんだよ!」
そんな言葉に惑わされながらも、ガーロックは進み続けた。
森の奥で出会ったのは、輝く緑の剣──リーフブレードだった。
「この剣で、肉の呪縛を断ち切れ!」
剣を手にした彼は、にんじんスライムやトマトゴーストを討伐しながら、次第に野菜の美味しさと力を知るようになっていった。
第二章:青汁の泉とエルフの導き
次に訪れたのは「青汁の泉」。そこには、伝説の青汁を守るエルフ族の賢女・セリナがいた。
「野菜を摂るには、形にこだわらなくてもいいの。飲むという手もあるわ」
ガーロックは、セリナから1日1杯の“グリーンエリクサー”を授かる。それは、忙しい冒険の合間でも、体に栄養を届けてくれる魔法の飲み物だった。
この泉で体を癒したガーロックの肌は、心なしかツヤを帯び、目の下のクマも薄れていた。
最終章:肉の魔王バラカルビとの決戦
ついにたどり着いた、脂肪の山脈。その頂に君臨するのが、ガーロック最大の敵──肉の魔王バラカルビである。
「野菜など草だ! 男は肉を食ってなんぼだぁぁ!」
バラカルビの攻撃は重く、油断すればリバウンド必至。
だが、リーフブレードを振るい、青汁を飲みながら戦うガーロックは、もはや“肉の虜”ではなかった。
「確かに肉は旨い。だが……野菜と共にある肉こそ、真の美味だ!」
渾身の一撃が魔王を討ち、脂肪の山脈は静かに崩れ落ちた──。
エピローグ:緑のある食卓
旅から戻ったガーロックの食卓には、彩り豊かな野菜たちが並んでいた。妻エリナは微笑みながら、久しぶりにこう言った。
「なんだか若くなったね、あなた。なんか……いい匂いもする」
「うむ、今日はアボカドとサラダチキンのマリネだ」
勇者はもう、“肉だけ”では戦えないことを知っている。
若さを守る鍵は、剣でも魔法でもない。それは、毎日の食事という冒険の中にあるのだから──。